日本テンペ研究会H29 年度大会開催報告

( 1) 研究大会

平成29 年8 月26 日( 土) に名古屋文理大学短期大学部にて開催されました。研究大会は、会員外の方も多く参加され、27 名の参加者がありました。太田会長の挨拶で始まり、第1 部は研究発表、第2 部はフォーラム「テンペの今・これから」、第3 部はテンペ調理講習会という構成でした。

第1 部 研究発表

岡山県工業技術センター野崎信行氏が座長を務め、①倉敷芸術科学大学須見洋行氏より「無塩発酵大豆食品のポリアミン含量―アミン類の産生と問題点―」、②有限会社オムニセパロ適塾東城博雅氏より「テンペ菌脂質のリピドミクス解析」、帝塚山大学新宅賀洋氏より「いわしつみれの官能評価」の3 題の発表がありました。

須見氏 東城氏 新宅氏

第2 部 フォーラム: テーマ「テンペの今・これから」

座長はテンペ研究会幹事 樫尾一氏が務め、会場とのディスカッションもあり有意義なフォーラムとなりました。
① テンペの栄養と調理性 畿央大学 浅野恭代氏
日本でのテンペの栄養価や機能性に関する研究の歴史などの紹介のあと、食品の3 次機能としての期待が高いこと、テンペの好まれる調味・調理法、お菓子をはじめとする加工食品への応用など、そのままテンペを食べる以外に多様な食べ方が紹介された。
② テンペの新たな活用 株式会社登喜和食品 遊作誠氏
開発における基本コンセプトとして、食べものは命をすこやかに育むもの、日本の農業を応援したい、素材を最大限に生かした商品開発を挙げ、テンペの普及・認知度の向上を考えている。今までに、テンペ以外に大豆テンペチョコ、べっぴンテンペポタージュ®などを開発したが、今後もテンペのもつ多様性と機能性を活かして、食べておいしく体に良い食品の開発に挑戦したい。
③ テンペ菌のキトサンについて 秋田今野商店 保坂善仁氏
東南アジアで代表される大豆発酵食品のテンペは、Rhizopus 属という糸状菌による大豆発酵食品であり、このRhizopus 属の細胞壁成分は、キトサンの含有率が非常に高い特徴を持っている。キトサンの持つ機能性はコレステロール低減が最も代表的である。テンペは「Rhizopus 属由来のキトサンを含む大豆発酵食品」という健康食品であることの認識も高めていただきたい。

第3 部 テンペ調理講習会

名古屋文理大学短期大学部宮澤節子氏がテンペ料理4種(テンペナゲット・テンペの酢豚風・テンペのイカ筒煮・テンペミルキー)を、作り方、料理の際の注意点などを説明した後、参加者は4 班に分れてテンペ料理4 種を作って試食しました。

(2) 総会

総会出席者は20 名で、小清水氏司会のもと、太田会長を議長として平成28 年度の事業報告ならびに会計報告があり、平成29 年度の事業計画( 研究会誌の発行、研究大会) および予算案の説明がなされ承認されました。