日本テンペ研究会H28 年度大会開催報告

(1)前夜祭

8 月26 日( 金) に岡山市の中山下「ホリスティックキッチン ミレット」でテンペを使った創作料理をいただきました。この日は何年ぶりかの豪雨でJRが止まり、電車の中に3 時間近く閉じ込められた方もあり、私も倉敷駅で2 時間半ほど待ち、新幹線でやっと岡山に着いたという状況で、6 時開始が8 時を過ぎて始まったというハプニングの日でした。豪雨の中20 人くらいの方が集まり、おいしい料理に舌鼓をうちました。シェフは香辛料を上手に使われており、エスニック風の風味がとてもおいしかったです。

( 2)研究大会

平成28 年度8 月27 日( 土) にヘルスピア倉敷( 学校法人加計学園 倉敷芸術科学大学)にて開催されました。今年は倉敷芸術科学大学、岡山テンペ協会が協賛としてご協力いただきました。
研究大会は、会員外の方も多く参加され、67 名の参加者のもと、太田会長と倉敷芸術科学大学副学長の奥本寛先生の挨拶で始まりました。第1 部は特別講演、第2 部は研究発表、第3 部はミニフォーラム「無塩発酵大豆の機能性」という構成でした。

第1 部 特別講演

1.「大豆発酵食品の機能性」倉敷芸術科学大学: 須見洋行氏
納豆菌は1905 年に単一菌が生成され、O157 の生育阻害作用、血栓溶解能をはじめ様々な機能があるが、今は気質特異性を研究し、ポリグルタミン酸、ビタミンK2、ポリアミンなどの成分についての研究をしている。

2.「ナットウキナーゼの結晶化および重水耐性菌の培養」 千葉大学: 柳澤泰任氏
ナットウキナーゼ( NK)の血栓症治療薬の開発のために構造解析をしている。一次構造はわかっているので、三次構造の解明を目指す。重水素中で納豆菌を培養し重水耐性菌を完成させ、NK を高生産させる条件を明確にする。

3.「健康食品素材としてのナットウキナーゼの現状」オルガノフードテック㈱:高垣聡一郎氏
納豆が苦手な方でも手軽に摂取できるようサプリメント等に加工して「ナットウキナーゼHTNK-J」( 納豆菌培養エキス粉末) を販売している。

 

第2 部 研究発表

研究発表では、① 矢田貝智恵子氏他( 倉敷芸術科学大学生命科学部)「各種豆類テンペと食パンへの応用」、② 太田美穂氏他( 相愛大学)「基本味へのテンペの添加効果」③ 新宅賀洋氏他( 帝塚山大学)「テンペ添加によるいわしつみれのにおいの変化」の3 題の発表がありました。

 

第3 部 ミニフォーラム

テーマ「無塩発酵食品の機能性」
1.「納豆について」
全国納豆協同組合連合会 副会長 相沢勝也氏
納豆を選ぶ理由は「栄養がある」「健康に良い」が60~ 70% あり、50 歳代に多いが、「美容・若返りに効果」は23% と近年増加傾向を示し10~ 30 歳代に多い。発酵食品を見直し積極的に食べましょうという「菌活女子」は腸内環境を整え美容と健康の一石二鳥を目指したものであり、若い女性のトレンドの一つになりつつある。

2.「テンペ菌はα-グルコシダーゼ阻害活性を持つか」
倉敷芸術科学大学 大杉忠則氏
α-グルコシダーゼ阻害薬とは、糖質の分解を抑えてブドウ糖の吸収を遅らせることで、食後の急激な血糖値の上昇を抑え、糖尿病患者における食後血糖値上昇を抑える治療薬だけでなく、糖尿病予備軍の発症予防にも有用である。市販テンペ種菌から分離した微生物由来のα-グルコシダーゼ活性阻害作用につ
いて調べた結果、主となる菌株に阻害作用を認めた。

3.「胚芽納豆はエクオールだけでなくポリアミンに優れている」
倉敷芸術科学大学 須見洋行氏
胚芽納豆は一般の納豆に比べてプトレシン、スペルミジン、スペルミンおよびカダベリンなどの4 種のポリアミンのうち、カダベリンが非常に多かったが( 75 ㎎ /100g のうち50 ㎎ /100g 以上がCad)、これは納豆になることで減ることはなかった。

4.「犬用納豆を広める意義とは」
株式会社ピュアボックス 淺沼 悟氏
犬猫の飼い主にとって究極の願いは愛犬・愛猫の《健康で長生き》であり、ペット食の品質向上が問われている。犬と納豆は相性がよく、納豆の機能性が犬の健康維持に最適である。

 

 

(3)総会

総会出席者は26 名で、小清水氏司会のもと、太田会長を議長として、H27年度の事業報告ならびに会計報告があり、H28 年度の事業計画( 研究会誌の発行、研究大会) および予算案の説明がなされ承認されました。また、事務局が畿央大学から帝塚山大学の新宅先生のところに変更されました。